経営分析の解説 これだけは知っておきたい10の経営分析指標(3)

経営分析は、決算書を分析する手法の一つです。
売上高営業利益率、流動比率、自己資本比率、固定長期適合率などの「○○比率」で計算される値を使って決算書を分析し、問題があるかないかやどこに問題があるかを明らかにし経営改善に役立てるものです。

○○比率は多数あり、経営分析で代表的とされるTKC経営指標では40個くらいあります(TKCは会計ソフトを開発して企業や会計事務所に販売する会社で、そのソフトには決算書を作成する機能だけでなくそれを分析する機能を持たせています)。

さすがに40個もあると、相当の手練れでないと、正直、何が何だかわからないということになりかねませんので、最低限知っておくべき10の経営分析指標をご紹介したいと思います。
それは以下の指標です。
①総資産利益率(ROA)
②売上高利益率
③総資産回転率
④自己資本比率
⑤有利子負債倍率
⑥借入金月商倍率
⑦付加価値率
⑧労働分配率
⑨1人あたり付加価値
⑩損益分岐点売上高

順に解説したいと思います。
なお、文中の標準的な値は、一般的な製造業や販売業をイメージして記載します。IT業界などは、土地や在庫を必要しないことが多いため、以下の解説中で出てくる値は参考にならない可能性が高いですのでご注意ください。

本日は、上記の⑦~⑩まで解説します。
収益性を確認する指標群です。

1.付加価値率

付加価値率は限界利益率とも呼ばれます。
これを求める計算式は、
・付加価値÷売上高
です。

付加価値は、
・売上高-変動費
で求めます。ここでいう変動費は細かな意味での変動費ではなく、仕入と外注費の2つの支出です。つまり、外部から購入する主要な原価を指します。
企業は、これら外部から購入したモノをベースに加工などを行い、自社の商品として販売します。
自社内での加工行為は材料などもともとのモノに+αの価値を付ける行為です。
この価値分の金額がベースの材料や外注の代金に上乗せされて販売されるわけです。

つまり利益の元ですね。

この付加価値の金額から加工などに要した人件費や家賃などの経費を負担します。
十分な付加価値の金額を頂戴しないと経費を負担できず、赤字になります。

よって、
・加工など自社内の活動に見合う付加価値を頂戴しないと倒産する
ことになります。

付加価値はそれほどに重要な概念になります。
これが低いと、自社の加工などの行為がお客様に認めていただけていないことの裏返しになりますので、市場での存在価値があまりないね、ということになります。

倒産する企業のほとんどは、倒産の数年前から付加価値率が右肩下がりとなります。
自社の付加価値率の推移をチェックし、同業他社とも比較し、十分な付加価値を確保するためにどうするかを常に検討することが倒産防止の第一歩となります。

2.労働分配率

計算式は、
・人件費÷付加価値
です。

先ほど解説した付加価値と人件費の割合です。
人件費には、賃金、給与、賞与、雑給だけでなく、法定福利費や福利厚生費、退職金の引き当てなどを含めます。
付加価値は、人件費を含むすべての経費を支払う原資でしたが、その経費の中でも大きな比率を占める人件費が付加価値に対してどれくらいの比率なのかをチェックすることは倒産防止に有用です。

また、この比率が悪い(=人件費が高い、付加価値が低い、その両方)の場合、社員の働きがその人件費に比べてお客様に認められていないことになりますので、原因を分析し、戦略の問題があればそこを修正するなど工夫が必要になってきます。

リストラは経営者としては恥ずかしい行為ですので、社員さんとともに付加価値をどう向上させるかの行動が求められますね。

3.一人当たり付加価値

付加価値を人員数で割った金額です。
この金額が高いと儲ける力が強いということになり、人件費の負担もスムーズになります。社員さんへの分配も多くすることができます。
これを上げるには人員数を減らす方法もありますが、経営者としては恥ずかしい行為ですので、前述のとおり、付加価値を上げる施策を考えることになろうかと思います。

4.損益分岐点売上高

これについては、別の記事で解説済みですので、こちらを参照ください。

損益分岐点売上高は当社の黒字を確保できる最低限の売上高水準ですので、常に意識して確認しておきたいですね。